各種の権利の設定 司法書士業務
登記記録には、その土地・建物を利用する権利や、担保に関する権利も記録することができます。これらの権利を設定して登記する際には、次の点に注意してください。
・所有権の登記がなされている必要がある。
・所有権の登記名義人と、設定した権利の権利者とが、共同で申請する必要がある。
・複数の権利の間では、登記された順(順位番号)によって優先順位が決まる。
抵当権などの「担保権」を設定する
大きな額の金銭を借り入れるときは、土地や建物を担保として提供することが非常に多く、これは会社の資金などのほか、住宅ローンなどでも同様です。
その場合、金銭の貸主側が不動産に対して「担保権」を有するという設定契約を結びます。最も多く利用されるのは抵当権ですが、これも含め土地や建物について登記することができる担保権には次のようなものがあります。
・抵当権
特定の債権の額(貸借した金額など)について、その不動産が担保するもの。不動産は引き続き所有者が使用できる。
・根抵当権
一定の範囲内の複数の取引について、契約した上限額(極度額)まで、その不動産が担保するもの。不動産は引き続き所有者が使用できる。
・質権
特定の債権の額について、その不動産が担保するもの。不動産は質権者に引き渡される。
・根質権
一定の範囲内の複数の取引について、契約した上限額(極度額)まで、その不動産が担保するもの。不動産は質権者に引き渡される。
・先取特権
民法で定められた一定の取引について、他の債権者より優先して支払いを受けることができる権利で、特に設定契約をしなくても自動的に生じるもの。例えば、住宅の改修工事を行った建設業者は、その住宅について先取特権を持つため、これを登記しておくことができる。
賃借権などの「利用権」を設定する
不動産には、担保権だけでなく、次のような利用権についても登記しておくことができます。
・地上権
工作物の設置や竹木の所有のため、長期にわたり土地を利用する権利で、土地の所有者は、権利者の求めに応じて登記に協力しなければなりません。
・賃借権
賃料を支払って土地・建物を借りる権利です。地上権に比べると弱い権利で、契約に明記されていない限り、所有者に登記手続をする義務は生じません。
・永小作権
農耕や牧畜を目的として土地を利用する権利で、地上権とは目的が異なります。20年〜50年の範囲で設定することができます。
・地役権
ある土地の所有者が、通路や水路を設けるなどのために、隣接する土地を利用する権利です。他の利用権と違って土地の一部についてのみ登記することもでき、その場合は図面も提出します。
・採石権
土砂や岩石を採掘するための権利です。
・配偶者居住権
住宅の所有者が死亡した後、所有者が変わっても、死亡した人の配偶者はその住宅に住み続けられるという権利です。
これらは、それぞれの権利ごとに、登記しなければならない事項や、同じ種類の権利を複数登記することの可否など、ルールがさまざまです。具体的内容については当事務所にお問い合わせください。
ご用意いただくもの
- 本人であることを証明できる書面(運転免許証など)
- 権利を設定したことを証する書面(設定契約書など)
- 不動産の所有者の実印
- 不動産の所有者の登記識別情報(又は登記済証)
- 不動産の所有者の印鑑証明書
測量・製図の要否
不要
費用(例:抵当権の場合)
料金(税込) | 35,500円〜 |
登録免許税 | 債権額×4/1000円 |