登記の制度とは?
商業登記・法人登記のしくみ
商業・法人登記の目的
会社や財団などは、一定の条件を満たすと、「人」と同じように権利や義務を持つ主体となります。これを、「“法律”によって“人”とみなされた」という意味で「法人」と呼びます。
ただ、本物の人間(自然人)と異なり、法人はその姿を見ることができませんし、戸籍や住民票もありません。
このため、法人と取引などをしようとする人にとっては、相手が本当に実在する法人かどうかを確認する手段が必要となります。そこで、法人は一般に、公開の記録である「登記」を行うことで初めて成立が認められるしくみとなっています。これが商業登記・法人登記です。
その代表例は「会社」であり、株式会社であれ合同会社であれ、会社が成立(誕生)したと認められるのは、「設立の登記」が完了したときであると会社法に定められています。
不動産登記が、所有者などの権利を守るための制度であるのに対し、商業登記は、どちらかというと取引の相手方を保護する観点から設けられた制度と言えます。
商業・法人登記の注意点
不動産登記と異なり、商業登記は、取引の相手方を保護することが主眼にあるため、法人側にとって「登記申請の義務」が課せられていることが多い点に特徴があります。
特に次の2点が、それぞれの法人を規定する法律(例:社会福祉法人なら「社会福祉法」、宗教法人なら「宗教法人法」)で具体的に定められています。
(1)登記しなければならない事項
(2)登記する事項の決定(議決)方法
(2)については、「株主総会の決議によって決定しなければならない」とか、「理事会の決議によって決定しなければならない」など、決定の方法(さらには、決議の定足数や賛成の数まで)が法律で指定されていることが多いです。このため、登記に当たっては、議事録など、その決定方法を証明する書類を添えて申請しなければならないので注意が必要です。